こんにちはᐕ)ฅ

数字だけでランキングを作らずに読みたいわっちゃです🤣

「100PPMなら、50PPMの2倍煙たいの?」。まずは、その数字が何を測ったのかを見てみましょう。

PPMはparts per million、100万分のいくつかを表す単位です。

ピートは泥炭のこと。ピーテッドウィスキーでは、大麦麦芽を乾燥させる際のピート煙が、香味づくりの一部になります。

その商品説明のPPMは、多くの場合、乾燥後の麦芽に含まれるフェノール類の量を示します。Kilchomanの公式解説も、この測定対象を説明しています。

PPMは麦芽づくりの有力な手掛かりですが、完成した一杯の煙たさをそのまま採点する数字ではありません。

麦芽、蒸溜直後のニューメイク、熟成後の3段階で測定地点の違いを示す図
測定対象を区別する生成概念図。虫眼鏡は測定の視点であり、全商品で3段階を測定する義務や実際の測定器を示すものではありません。

図は左から、次の3段階です。

  1. 麦芽:商品説明の数値は、まず原料の値かを確認する。
  2. ニューメイク:蒸溜直後の液体を、麦芽と同じものとして扱わない。
  3. 熟成後:樽を経た液体と、一杯を感じる人の印象を区別する。

下段の「測定地点が違えば、数字だけで比べない」が、この記事の読み方です。

何を測ったPPMなのか|3段階を分ける

1. 麦芽:乾燥後の原料の値

大麦麦芽は、大麦を発芽させて乾燥した原料です。Kilchomanの製造工程にも、発芽からピートを使った乾燥への流れが示されています。煙のフェノール類は、湿った麦芽に付着します。

Kilchomanは、キルニング(麦芽の乾燥)後、ほかの製造工程に入る前に、麦芽のフェノール量をPPMで測ると説明しています。

木のテーブルに並べた麦芽と琥珀色の飲み物が入ったグラス
麦芽と飲み物を描いた生成イメージ。粒の色やグラスからPPMを読み取ることはできません。

商品に数値が書かれていたら、公式説明で「麦芽の値」と示されているかを探します。瓶に書かれた数字だからといって、瓶の液体を測ったとは限りません。

2. ニューメイク:蒸溜直後の液体

ニューメイクは、蒸溜して得た熟成前の液体を指します。Kilchomanの蒸溜解説でも、蒸溜で取り分けたニューメイクを樽へ詰める流れが説明されています。原料の麦芽そのものではありません。

Kilchomanの解説は、糖化・発酵・蒸溜が、フェノール量や最終的なピート香へ影響するとしています。したがって、麦芽のPPMを、そのまま蒸溜後の液体の値として使うことはできません。

3. 熟成後:瓶の液体と感じ方も別

Bruichladdichの公式解説は、自社のPPMが熟成後の瓶内液体ではなく大麦の値であり、蒸溜と熟成で低下すると明記しています。

一方、同社が香味を説明する際には、蒸溜で取り分ける部分、樽、熟成年数、製品の度数なども扱っています。PPMは、造りを知るための一つの条件です。

図の右まで進んだら、原料の数字と完成品の説明を分けて読みましょう。どの商品でも同じ割合で数値が下がる、という図ではありません。

麦芽の数値に関わる条件

Bruichladdichは、煙に当てる時間、麦芽の水分、使うピートの量や種類などを挙げています。

  • 時間:どのくらいピート煙に触れさせるか。
  • 水分:煙を受ける麦芽が、どのような状態か。
  • ピート:どんな素材を、どれだけ使うか。

数値を見るときは、原料づくりの背景にも目を向けると読み方が豊かになります。単一の操作だけで香味が決まる、と考えないのがポイントです。

100PPMは50PPMの2倍煙たいのか

「煙たさが2倍」とは、この数値だけでは言えません。

同じ対象・測定条件のフェノール量であれば、100は50の2倍という数値関係です。しかし、それを人が感じる煙たさの倍率へ置き換えるのは別の話です。

KilchomanはPPMを手掛かりとしつつ、ピート感の決定的な分析にはしないよう説明しています。商品の違いを読むなら、測定対象に加えて、蒸溜や熟成の説明も必要です。

私は、PPMを「煙たさの順位表」より「造り手へ質問する入口」として使う読み方をおすすめします😎

煙の「量」より「質」を言葉にする

香りのメモでは、スモーキーという一語を、もう少し身近な言葉にしてみます。

  • 焚き火や燻製
  • 灰や乾いた木
  • 湿った土や薬品を思わせる印象

これは感想の語彙例です。実際に土や薬品が入っているという意味でも、全商品に共通する香りでもありません。

正解語を当てる必要はありません。自分の記憶に近い表現を一つ選び、果実、麦、樽を思わせる印象があれば一緒に書きます。

木のカウンターに並ぶ色合いの異なる二つのウィスキーグラス
2杯を描いた生成イメージで、実飲結果ではありません。液色の濃淡はPPMや煙たさの順位を示しません。

すでに味わう機会がある成人向けに、次のような観察メモを提案します。

  1. 数値を見ず、最初の香りを自分の言葉で書く。
  2. 公式の商品説明で、PPMの測定対象を確かめる。
  3. 度数、樽、熟成の説明など、PPM以外の条件もメモする。
  4. 数字と感想を並べ、「何が違うのだろう」と質問を残す。

銘柄が違えば、PPM以外の条件も違います。これはPPMだけを変えた比較実験ではなく、商品と自分の感想を読むための記録です。

数字との一致で、自分の嗅覚を採点しなくて大丈夫です。飲まない場合は、公式テイスティングノートの言葉を比べるだけでも、造り手ごとの説明の違いを追えます。

数字が見つからなくても、背景は読める

公式の商品説明でPPMが見つからないときは、麦芽やピート、蒸溜、樽の説明を探してみましょう。

PPMの有無だけを品質の採点基準にしない、というのがこの記事の提案です。数値は背景を知る道具であって、商品を理解するための唯一の入口ではありません。

ヒント

産地と香味の違いも気になる方は、アイラのピート・造り・樽を分けて読む解説へ。産地名もPPMも、それだけで一杯の味を決める数字や記号にはしません。

高PPMを完飲することが目的ではない

香りに慣れれば偉い、というものではありません。合わなければ無理に飲み切らず、数字の高い商品を次々試す必要もありません。

ピートの強さを根性試しへ変えると、味わう文化が罰ゲームになります。酒に部活動を持ち込まなくていい🤣

注意

20歳未満や運転する方は飲酒しないでください。妊娠・授乳中も飲酒を避け、体質的に飲めない方は無理をしないでください。持病・治療・服薬がある場合は医師などに確認を。飲める量や影響には個人差があり、本記事の観察メモは飲酒を勧めるものではありません。

飲酒時の注意は、厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」で確認できます。

ピートは環境資源でもある

香りの背景には、ピートを採る土地もあります。

Scotch Whisky Association(SWA)の解説は、健全な泥炭地の炭素貯留、生物多様性、水環境との関わりを説明しています。

同協会が掲げるテーマは、責任ある採取、使用の最適化・効率化、泥炭地の再生と管理です。これは取り組みの方針であり、すべての商品の達成状況を保証するものではありません。

PPMを読んだら、「資源をどう使い、土地をどう守るのか」という造り手への質問も加える。数字から文化の背景へ進む、もう一つの読み方です。

まとめ|PPMは入口、答えはグラスの中

商品説明のPPMを見たら、まず測定対象を確認する。麦芽の数値を、完成品の煙たさの順位にしない。

麦芽、蒸溜直後のニューメイク、熟成後の3段階で測定地点の違いを示す図
測定対象を区別する生成概念図。虫眼鏡は測定の視点であり、全商品で3段階を測定する義務や実際の測定器を示すものではありません。

図を、もう一度左から読んでみましょう。

  1. 麦芽:公式説明の数字は、この原料を測ったものか。
  2. ニューメイク:蒸溜を経た液体と、原料の値を混同していないか。
  3. 熟成後:樽を経た商品を、原料の数字だけで順位付けしていないか。

下段の注意書きは、数字を捨てるためではなく、数字が説明できる範囲を守るためにあります。

次に商品説明を見たら、PPMと一緒に、蒸溜や樽の説明を一つ探してみてください。飲まずに読むだけでも構いません。

「高いから勝ち」から「何を測り、どう造ったの?」へ。数字を道具へ戻すと、ピートの話はぐっと面白くなりますよ…!

公式情報・参照日

参照日:2026年10月4日。メーカーの測定対象・製法説明、業界の環境方針、飲酒時の注意をそれぞれ確認しました。